こんにちは、SunnyPay事業部の磯野です。
AWSを使い始めようとしたとき、多くの新人エンジニアが最初につまずくのが「EC2」というサービスです。名称は知っているものの、実際にどんなことができるのか、何に使うのか、そしてそもそも「仮想サーバー」ってどういう意味なのか――そういった疑問を持ったまま、何となく触ってみて失敗した、という声もよく耳にします。
そこでこの記事では、AWS初心者の方に向けて、「Amazon EC2とは何か?」をやさしく、かつ実務の視点も交えて解説していきます。初めてAWSに触れる方でもイメージしやすいよう、専門用語の使用は最小限にとどめています。
この記事はこんな人にオススメ!
- AWSを学び始めたばかりで、EC2という言葉の意味がまだピンときていない
- 「仮想サーバー」とは何かをわかりやすく知りたい方
- EC2を業務で使うことになり、基礎から整理して理解したいと感じている方
- 無料利用枠でEC2を試そうと思っているが、使い方がわからず手が止まっている方
1. 「EC2」 とは、AWSで提供される“仮想サーバー”サービス
Amazon EC2は、AWSが提供するクラウド上のサーバーサービスです。正式名称は「Amazon Elastic Compute Cloud」。略してEC2(イーシーツー)と呼ばれています。このサービスでは、インターネットを通じて「仮想的なパソコン」を必要な台数だけ使うことができます。
EC2を使うと、まるで自分専用のパソコンを遠隔操作で動かしているような感覚になります。たとえば、自宅のノートパソコンから、東京や大阪、あるいは海外にあるAWSのサーバーを遠隔で操作し、アプリケーションを動かしたり、テストしたりできるのです。物理的なマシンを購入したり、設置したりする手間が不要になるという点で、開発スピードの向上やコスト削減に大きく貢献します。
2. 「仮想サーバー」とは何か?
「仮想サーバー」とは、物理的なサーバー(実物のマシン)を何台分にも分割して、ソフトウェア上で動かす仕組みのことです。まるで一つの家に複数の“間借り部屋”を作って、それぞれ別の住人が自由に暮らしているようなイメージです。
EC2はその“間借り部屋”の1つを貸し出してくれるサービスです。ただし、この部屋は壁で仕切られているだけでなく、内部の設備(CPU、メモリ、ストレージ)まで個別に管理されているため、他の部屋の影響を受けにくい設計になっています。これはセキュリティ面でもパフォーマンス面でも、大きな安心材料になります。
また、仮想であるがゆえに、必要なときだけ使って、不要になったらすぐに止めることができるのも大きなメリットです。物理マシンでは不可能な柔軟さが、仮想サーバーには備わっています。
3. EC2で何ができるのか?実際の活用シーン
EC2の用途は非常に幅広いです。最もよく使われるのは、開発環境の構築です。たとえば、アプリケーションを開発する際、手元のパソコンで動作確認をすると、動作が重くなったり、個人の環境に依存してしまうことがあります。そんなとき、EC2上に開発用の環境を用意すれば、チーム全員が同じ条件で作業を行うことができます。
また、Webアプリケーションをインターネット上に公開する際の「公開サーバー」としても活用されます。たとえば、静的なWebサイトであればS3でも事足りますが、WordPressのような動的なアプリを運用する場合には、EC2でWebサーバー(ApacheやNginxなど)とデータベースを構成して運用するのが一般的です。
他にも、社内ツールのバッチ処理、APIサーバーの設置、短期間だけ必要な検証環境の構築など、まさに「やりたいことを素早く試せる箱」として重宝されています。
4. EC2を使うときに注意すべきこと
初心者が最初に引っかかりやすいポイントが、インスタンスの状態管理です。EC2では、仮想サーバーのことを「インスタンス」と呼びます。このインスタンスには「起動」「停止」「終了」という3つの状態がありますが、それぞれの違いを理解していないと、思わぬトラブルや課金が発生します。
「停止」は、インスタンスを一時的に使わない状態にすることで、CPUやメモリの使用料金は発生しなくなります。しかし、データが保存されているストレージ(EBSと呼ばれる)は残っているため、ここには課金が継続されます。一方、「終了」を選ぶとインスタンスは完全に削除され、EBSも原則として消えるため、保存していたデータは戻ってきません。
また、セキュリティ設定も重要なポイントです。インスタンスにアクセスする際の「セキュリティグループ」という設定があり、ここでポートやIPアドレスの許可範囲を決めることになります。たとえば、誤って“全世界からアクセスOK”という設定にしてしまうと、悪意のある第三者からの攻撃リスクが一気に高まります。特に「0.0.0.0/0」という設定には要注意です。
5. 無料でEC2を体験する方法と学び方のステップ
AWSには、初心者が学びやすいように「無料利用枠」が用意されています。EC2もその対象に含まれており、t2.microやt3.microといった小規模のインスタンスであれば、一定の時間まで無料で利用できます(※アカウント作成から12か月間が対象)。
この無料枠を活用して、まずは「インスタンスの起動」「接続」「アプリのインストール」「停止・終了」までの基本操作を一通り試してみることをおすすめします。最初の段階では、複雑な構成や大規模なシステム構築を目指す必要はありません。たとえば、EC2にログインして、Webブラウザに「Hello, EC2」と表示されるだけの簡単なアプリケーションを動かすだけでも十分な学びになります。
さらにステップアップしたい方は、EC2とS3やRDSなど他のサービスを組み合わせて、簡単なシステム構成を試してみると理解が一気に深まります。
6.まとめ:EC2を知ることがAWSの第一歩になる
Amazon EC2は、AWSの中でも最も利用頻度の高いサービスのひとつです。「仮想サーバー」という考え方を理解できるようになると、AWSの他のサービスにも応用が利くようになります。
最初はやや取っつきにくく感じるかもしれませんが、実際に自分でインスタンスを起動して操作してみると、「なるほどこういうことか」と感覚がつかめてきます。AWSの世界を知るための入り口として、EC2は非常に良い教材です。
まずは手を動かして、失敗しながら覚えていきましょう。AWSを学ぶ旅は、ここから始まります。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!