日々の業務でGoogleスプレッドシートに数値や集計をまとめながら、「このままレポート化できれば効率的なのに」と感じた経験は多くの方にあるのではないでしょうか。従来はCSVでの手動インポートや外部サービスを経由する必要があり、手間と時間がかかることが課題でした。
今回AWSが発表した「Amazon QuickSightによるGoogleスプレッドシートの直接連携」は、こうした現場の悩みに応える大きな改善です。スプレッドシートに入力した情報をそのままQuickSightのダッシュボードへ反映できるようになり、データ活用のハードルを大きく下げるアップデートとなっています。
1.これまでの課題
Googleスプレッドシートは、営業管理やマーケティング施策の集計、バックオフィスでの勤怠や予算管理など、多くの企業に浸透しています。しかしQuickSightなどBIツールで分析しようとすると、従来は以下のような課題がつきまといました。
- CSVとして手動エクスポートしてからインポートするため、更新のたびに工数が発生する
- 外部連携サービスを使うと追加コストやメンテナンス負担が増える
- 一度取り込んだデータはリアルタイム性が失われ、意思決定のスピードを落とす
「シートには最新データがあるのに、レポートが数日前のまま」という状況は多くの現場で見られ、BI導入が形骸化してしまう大きな原因になっていました。
2.導入手順
今回のアップデートで、QuickSightからGoogleスプレッドシートに直接接続できるようになりました 。AWS公式ブログ によれば、利用手順は以下の流れになります。
1.認証・権限設定
IAMポリシーを通じてSecrets Managerの参照権限をQuickSightに付与。
2.QuickSightでデータソースを作成
「Google Sheets」を選択し、接続したいシートを指定。
3.データ取り込みと可視化
取り込んだシートのデータを直接QuickSight上でグラフやダッシュボードに反映。
また、セキュリティ面ではAWS KMSによる暗号化や、CloudTrailでの監査ログ記録もサポートされており、エンタープライズ利用に耐えうる仕様となっています 。
①データソース作成
※事前に管理者の方にQuickSightのサービスロールがSecretsManagerを操作できるよう設定してもらう必要があります。
OAuthでQuickSightから Googleスプレッドシートに接続するためにGoogleアカウントによる認証と認可操作を行います。
↓
②データセット作成
なお現状、モードはSPIDEモードのみサポートされており、ダイレクトクエリは選択出来ません。
データセット一覧で確認しても、GoogleSheetと連携されたものが作成されているのが分かります。
③データの可視化
もちろん、分析に利用することも可能です。
様々なビジュアルがありますので、ぜひ色々と試してみてください。
4.導入メリット
リアルタイム性の確保
営業担当がシートに数値を入力すれば、そのままダッシュボードに反映されるため、速報値ベースでの分析や意思決定が可能になります。
データ民主化の促進
「IT部門に依頼しないとグラフが作れない」という従来の状況から脱却し、非エンジニアでも自分で分析に触れられる環境が整います。
運用効率の向上
CSV出力や外部連携ツールのメンテナンスといった間接作業が不要になり、担当者は本来注力すべき業務に時間を割けるようになります。
5.注意点と留意事項
便利さが増す一方で、導入にあたってはいくつかの注意点もあります。
- Googleアカウントの認証管理やSecrets Managerへの格納設定など、初期セットアップにはAWSとGoogle双方の知識が必要
- セキュリティポリシーによっては外部サービス連携に承認プロセスが必要になる場合がある
- 特にエンタープライズ利用では、セキュリティ部門と連携してガイドラインに沿った導入を行うことが重要
まとめ:日常業務の煩わしさから脱却
いかがでしたか?
「スプレッドシートの入力がそのままBIに反映される」という体験は、これまでの煩雑な作業を一気に過去のものにします。
もし「データ活用を進めたいが、第一歩が踏み出せない」と感じているなら、このアップデートは試す絶好のタイミングです。
日常業務の延長から、データ活用を社内に根付かせてみてはいかがでしょうか。
AWSの利用料金、もう少し最適化できるかもしれません。
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