AWSを本格的に使い始めると、どうしても気になってくるのが「クラウド料金の高止まり」です。オンデマンドで使い続けるよりも割引が効く仕組みとして、リザーブドインスタンス(RI)を導入している企業も多いでしょう。
しかし最近では、より柔軟に使える割引制度「Savings Plans(セービングスプラン)」を活用する企業が増えてきています。
とはいえ、RIとの違いがわかりにくいのも事実です。
どのように活用すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Savings Plansの基本的な仕組みから、RIとの違い、活用のポイントまでをわかりやすく解説します。
この記事はこんな人にオススメ!
- SPを契約したが、想定よりコスト削減効果が出ていない
- コミット額の決め方に自信が持てない
- 経理部門に割引の仕組みを説明できず困っている
- 割引適用状況をうまく“見える化”したい
※本記事は後編です。
Savings Plansの基本やRIとの違いについて知りたい方は、先にこちらをご覧ください。
▶Savings Plansとは?リザーブドインスタンスとの違いや選び方を徹底解説
1.SPの「契約額」、どう決めてる?
Savings Plans(SP)は、1時間あたりの使用金額を事前に契約(コミット)することで、割引を受けられる仕組みです。そのため、契約前に「どれくらい使うか?」を慎重に見積もる必要があります。
とはいえ、AWSの利用量は月によって変動するのが一般的。特にEC2やLambdaなどを複数のプロジェクトで利用している場合、1年後・3年後の使用状況を正確に予測するのは難しいという声も少なくありません。
こうした背景から、実際にSPを契約する際には、過去6〜12ヶ月の使用実績をもとに、ピークではなく“安定して使っている最低ライン”をベースに契約金額を設定する企業が多くなっています。また、インスタンス構成の変更や新規サービスの追加などが予定されている場合は、過剰に契約せず余白を残すことが、運用上のリスクを減らすポイントです。
2.SPを「使い切れない」のはなぜ起きるのか?
Savings Plansを導入しても、「あまり安くなっていない気がする」「想定より効果が薄い」という声は珍しくありません。その原因の多くは、契約した金額分を使い切れていないことにあります。
SPは、1時間ごとの使用金額に対して割引が適用されます。たとえば「1時間あたり10ドル」のSPを契約していたとしても、実際の利用が6ドルしかなければ、残り4ドル分は割引を活用できないまま消化されてしまうのです。
このように、時間単位での“使い残し”が積み重なることで、割引率が下がり、「思っていたよりお得じゃない」という印象につながるのです。
契約時点では「ざっくり平均」ではなく、1時間単位の使用傾向を分析しておくことが、効果を最大化する鍵となります。
3.SP割引が「見えない」と言われる理由
Savings Plansにはもう一つの課題があります。それは、割引がどこにどう適用されたのかが見えにくいという点です。
RI(リザーブドインスタンス)の場合は、どのインスタンスに適用されたかが比較的分かりやすく、効果も把握しやすいですが、SPは「金額ベースで自動的に分散適用される」ため、利用者側からすると“どこが安くなったのか”を明確に説明しづらい構造になっています。
そのため、SP導入後はAWSが提供するCost ExplorerやBillingダッシュボードを使って、定期的に「どのくらい適用されているのか」「使い残しがないか」を確認していく必要があります。
中でも重要なのが「カバレッジ(Coverage)」と「ユーティリゼーション(Utilization)」という2つの指標です。
指標 | 意味 |
Coverage(カバレッジ) | 割引が適用されたインスタンス使用量の割合(=割引の広がり) |
Utilization(ユーティリゼーション) | コミットした金額がどれだけ使い切れているか(=割引の消化率) |
この2つを定期的に確認すれば、「契約額が大きすぎた」「利用の偏りがある」といった運用上の課題にも早期に気づくことができます。
4.経理と技術部門で“割引の感覚”がズレる理由
SPの導入効果が見えにくいもう一つの理由が、経理部門との情報ギャップです。
エンジニアやクラウド担当者は、「Cost Explorerでは割引が適用されている」と認識していますが、経理が目にするのは「請求書ベースの金額」であり、そこに割引の内訳や適用対象が明記されているわけではありません。
この違いが、社内で「本当に割引されているのか?」という不信感や、「SPを入れたのに安くなっていないのでは?」という誤解を生みやすくしています。
こうしたズレを防ぐためには、エンジニア側がSPの利用状況やカバレッジ・消化率の推移をレポートとしてまとめ、月次で共有する仕組みを整えていくことが有効です。
また、「Savings Plansは時間単位で割引が分散されるため、請求書上では明確に見えにくい」という構造上の特徴を、社内であらかじめ共有しておくことも、円滑なコミュニケーションにつながります。
5.SunnyPayならSavings Plansにも“ダブル割引”が効く
Savings Plansを導入する際、SunnyPayを併用することでさらに5%の割引が適用される点は見逃せません。
この割引は、AWS本来のSavings Plansによる割引に上乗せで適用されるため、たとえばCompute SPで最大66%の割引を受けながら、さらにSunnyPay経由の支払いで5%引きが適用される、という構造です。
しかも、SunnyPayはAWSのアカウント設定や構成には一切干渉しません。
つまり、「契約方法と支払いルートを変えるだけ」で、構成をそのまま維持しながら追加の割引を受けることができます。
さらに、SunnyPayでは割引状況や利用状況を月次レポートで確認できるため、「SPの効果が分かりにくい」という課題にも対応可能です。
エンジニアだけでなく経理やマネージャーにも効果が伝わるよう、“見える化”された状態での運用ができるのは、大きな安心材料になるでしょう。
まとめ:SPは「使い方」と「見せ方」が命
いかがでしたか?
Savings Plansは、使い方次第で大きなコスト削減を実現できる割引制度です。
ですが、その効果を最大限に引き出すためには、単なる契約にとどまらず、
- 自社に合った契約額の設定
- 運用中の消化率の確認
- 経理やマネジメント層への説明手段
- 請求代行サービスによるさらなる最適化
といった“契約後の運用設計”が求められます。
Savings Plansを「契約したら終わり」と考えてしまうと、そのポテンシャルは活かしきれません。
契約してからが本番。その後の“使い方”と“見せ方”を整えることで、初めてコスト削減施策として意味のある投資になるのです。
SunnyPayのような仕組みを活用すれば、SPの“実質的な割引率”を高めながら、可視化と共有もスムーズに進めることができます。
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