「AWSの請求が思ったより高い…」
そんな悩みを抱えて明細を見直してみると、意外と多いのが「EBS(Elastic Block Store)」や「スナップショット」の存在です。EC2を削除したつもりでも、ストレージやバックアップだけが残って課金され続けている──そんなケースは決して珍しくありません。
EBSは“仮想ハードディスク”のような存在で、EC2に接続して使うのが一般的ですが、インスタンスと一緒に削除されるわけではありません。また、スナップショットも定期バックアップ設定にしていると、自動で増え続けていることがあります。
この記事では、不要なEBSや古いスナップショットを見つけて削除する方法、そしてどれだけのコストインパクトがあるかを、具体例とともに解説します。
「削除していいか分からない」「何に使っていたか覚えていない」──そんな状態を脱するきっかけとして、まずは“見えないムダ”の棚卸しから始めてみましょう。
この記事はこんな人にオススメ!
- EC2は削除したのに、EBSやスナップショットが残ったままになっている
- AWS請求を見直す中で、ストレージ費用の割合が高いと感じている
- 何を削除していいのか分からず、そのまま放置している状態に心当たりがある
そもそも「EBS」って何?
EBS(Elastic Block Store) は、AWSのEC2インスタンスにアタッチして使う「仮想ハードディスク」のようなものです。 EC2を起動するためのOS領域や、ログ・データベースなどの保存先として使われる永続ストレージです。
ファイル単位で保存するS3とは異なり、EBSはブロックレベルでデータを保存します。つまり、EC2とセットで使うことを前提としたディスクだと考えると分かりやすいでしょう。
ポイントは、EC2を削除してもEBSは自動では消えていない可能性があるという点。
そのため「知らない間にEBSだけ課金され続けている」という事態が起きやすいのです。
背景:見えない“残骸”がコストに化ける
EBSボリュームは、必ずしもインスタンスとセットで削除されるわけではありません。
「終了時に削除」に設定をしていなければ、EC2を削除してもEBSだけが残って課金され続けるケースがあります。
また、スナップショットを自動バックアップに設定している環境では、何年も前の不要なスナップショットが蓄積されていることも。
こうした“放置リソース”が、ストレージコストを静かに押し上げているのです。
Step1:未使用EBSボリュームを探す
まず確認したいのは、「すでに誰にも使われていないEBSボリューム」が存在していないかどうかです。EC2のインスタンスと異なり、EBSは単体で残ってしまうことが多く、気づかぬうちに“使われていないのに課金されている”状態になっていることもあります。
確認するには、AWSマネジメントコンソールの「EC2」サービスから、左メニューのElastic Block Store > ボリュームを開きましょう。
それぞれのボリュームを確認すると、「アタッチされたリソース」という欄があります。上の画像のように、ここが空欄=どのインスタンスにも接続されていない状態であれば、そのEBSは未使用である可能性が高くなります。
さらに、Trusted Advisor(ビジネスサポート以上)を使えば、「利用頻度の低いEBSボリューム」を一覧で自動抽出することも可能です。
複数環境を運用していて把握が難しい場合は、Trusted Advisorの活用も検討するとよいでしょう。
💡SunnyPayなら? SunnyPay経由でAWSを利用すれば、ビジネスサポートをそのまま継続して使える上に、契約時に5%の割引も適用されます。 つまり、Trusted Advisorの高度なコスト最適化レポートを活用しつつ、コストそのものも抑えられるというのがSunnyPayの大きな強みです。
Step2:不要なスナップショットを削除
次に見直したいのが、EBSのスナップショットです。
スナップショットはシステム運用に不可欠な要素ではありますが、古くなったものや、二度と使われる予定のないものまで残し続けてしまうと、それ自体がコストの原因になります。
スナップショットの確認は、AWSコンソールから「EC2」サービスを開き、左メニューの「スナップショット」を選択します。
一覧表示される中から、作成日が古く、すでに不要となったバックアップを見つけたら、削除を検討しましょう。
AWSコンソール > EC2 >「スナップショット」
また、スナップショットが定期的に自動作成されている場合、時間の経過とともに数十個〜数百個と蓄積されていることもあります。
このような場合は、AWSの「ライフサイクルマネージャー」を活用することで、一定期間が経過したスナップショットを自動的に削除する設定も可能です。
一度設定しておけば、削除忘れによるコスト増加を防ぐことができるため、特にスナップショットが頻繁に生成される環境では有効な手段です。
1.ライフサイクルポリシーを作成
2.ポリシータイプを選択
デフォルトポリシーはすべてのEBSボリューム/インスタンスを対象に、
自動でスナップショットを作成するので注意。
↓
スケジュールベースのポリシーを選択。
スケジュールベースのポリシー
決まった時間・頻度(例:毎日22:00など)でスナップショットを作成・削除。
イベントベースのポリシー(アカウント間コピーなど
スナップショットが共有された、など特定のイベントをトリガーに動くポリシー。クロスアカウントのバックアップ用途などに使用。
3.ターゲットリソース、タグを設定
ターゲットリソースタグで紐づけたボリュームのみに
今回のポリシーが適用される。
4.ポリシーの説明を入力し、特になければ[次へ]
5.「スケジュール完了後のアクション」を選択
上の画像では、毎日9時から12時間ごとにスナップショットが4つになるよう、
自動作成、削除を行います。
6.必要に応じてオプションの設定を行い、[ポリシーを確認]
7.作成したポリシーを確認し[ポリシーを作成]
効果:小さな無駄の積み重ねのインパクト
不要なEBSボリュームや古いスナップショットを削除することで、ストレージ課金を毎月数千円〜数万円レベルで削減できることもあります。
リージョン | OS | インスタンスタイプ | EBSタイプ | スナップショット単価 | 為替レート |
東京リージョン | Linux | m5.large | gp2(汎用SSD) | USD 0.055/GB/月 | 150円/ドル |
項目 | 計算内容 (オンデマンド料金×時間×レート) | 月額コスト 概算 |
未使用EBS (100GB) | USD 0.12 × 100GB × ¥150/USD | 約1,800円/月 |
スナップショット (300GB) | USD 0.05 × 300GB × ¥150/USD | 約2,250円/月 |
実際のスナップショットの量や利用パターンによって効果は異なりますが、このように、「ボリュームが多いわけでもない」「ちょっとした設定ミス」でも、1年積み重なるとかなりの金額になってしまいます。
注意点:一見“不要”でも、消す前に確認を
EBSやスナップショットの削除には慎重さも求められます。
というのも、CPU使用率が低いからといって「不要」と即断するのは危険です。
たとえば、一時停止中のインスタンスにアタッチされているEBSや、定期的なメンテナンスタスク用に保持しているスナップショットなど、一見使っていないようでも実際には必要なデータが含まれていることがあるからです。
特にスナップショットは、削除してしまうと過去の状態に戻せなくなるため、事前に「復元の予定がない」ことを必ず確認しましょう。
また、バックアップや監査のために一定期間保存しているケースも多いため、削除ではなくGlacierなどの低コストストレージに移行するという判断も検討すべきです。
チームでの合意形成や、保存ルールの整理を進めたうえで、計画的に削除・最適化を進めることが大切です。
まとめ:まずは“残っているだけで課金される”ものを見直そう
いかがでしたか?
クラウドのコスト最適化は、専門知識や複雑な設定から始める必要はありません。
まずは、使われていないEBSや、不要になったスナップショットといった“残っているだけで課金されている”リソースを整理してみましょう。
EBSの使用状況を確認し、スナップショットの保存ルールを見直すだけでも、毎月のストレージコストにしっかりと差が出ます。
「あとで使うかもしれない」ではなく、「本当に必要か?」を一度立ち止まって判断することが、コスト最適化の第一歩です。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
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